12th archiforum in OSAKA 2008/2009

概要をちょっと変更しました。

来期(10月)から、前任の岸川謙介さん・松岡聡さん・山崎泰寛さん3名の後を引き継ぎ、アーキフォーラムという関西のイベントのコーディネーターに任命された。コーディネーターが決めたテーマ(前回は、国境と建築)に沿った人選で、毎回ゲスト(建築家に限らない)を呼んで話を聞くというイベント。建築の議論が行われる機会が少ない関西で、その機会を作り出すというのが趣旨のようであり、企画運営は毎回、今井敬子さん・柳々堂書店他のボランティアで成り立っている。

熱い議論が巻き起こるような仕組みを考えたいと思う。

以下は、土曜に配布するレジメの抜粋。

建 築 の 跳 躍 力
-2000年以降の社会と建築を語る建築作品-
12th archiforum in OSAKA 2008/2009

2000年、Y2K問題。ハノーバ万博がドイツで開催。2001年、ウィキペディア日本語版開設。iPod発表。2002年、日韓共催ワールドカップ、世 界の中でアジアが躍進した。住民基本台帳ネットワーク開始。2003年、ヒトゲノム解読の全作業を修了。イラク戦争、戦争がリアルタイムで伝えられた。 2004年、Winny開発者逮捕。2005年、公共建築でのアスベスト未除去が問題化。耐震強度偽装問題が発覚。2007年、それに伴う建築基準法改正 は、現在も建設業界の先行きを不透明にしている。2008年、洞爺湖サミット開催で温室効果ガスの削減について話し合われた。

この様に、さまざまなニュースが報道され、「建築を作る」ことの背景が激変する中でも、世界中に数え切れないほどの建築が作られてきた。社会の構造転換と呼べるほど大きな出来事だけで無く、たった1つの出来事が、多くの「建築を作る」ことに干渉してくる。

しかし、建築はその形式的な独立性故に、別の時代・別の社会から見ると、その社会的な背景、ともすれば個別の要求・条件さえもが不可視な状態に陥ってしまう。それ故、過去の建築を見ることの多くは、ヒットチャートを聞く程には「当時」を思い出させてはくれないのである。

政治的に建物を作らないことが選挙での当選条件となり、商業活動がネット上でも可能になった現在は、様々なことが脱建築化した時代である。その中にあって、私達はどの様に振る舞うべきか?常にその立ち位置を社会の中に問い直す態度こそが「建築を作る」ことに求められるのではないだろうか?
archiforum in OSAKA 2008/2009では、2000年以降に作られた建築のデータベースとその社会背景を再接続することで可視化する、時代を代表する建築作品を招き、その建築作品から社会を読む試みを行う。過去を振り返るのでは無い、2010年以降の未来に繋がる建築の話がしたい。

□コーディネータープロフィール
家成俊勝(いえなり・としかつ)
1974年兵庫県生まれ/1998年関西大学法律学科卒業/2000年大阪工業技術専門学校夜間部卒業/専門学校在籍中より設計活動を開始/2004年〜dot architects共同主宰/2008〜京都造形芸術大学非常勤講師

香川貴範(かがわ・たかのり)
1974年大阪生まれ/1998年東京工業大学建築学科卒業/2000年同大学大学院修士課程修了/2000年〜2006年株式会社坂倉建築研究所/2006年〜S P A C E S P A C E共同設立/2007年〜摂南大学非常勤講師/2008年〜京都造形芸術大学非常勤講師

米津正臣(よねづ・まさおみ)
1974年愛知県生まれ/1997年東京工業大学建築学科卒業/1999年同大学大学院修士課程修了/1999年〜竹中工務店大阪本店設計部勤務