SPCSPCブログ

SPACESPACE


Most Impressive Architecture 2009
2010/02/08 01:26

Most Impressive Architecture 2009。昨年一年を振り返り『新建築』『新建築住宅特集』に掲載された作品および論文・記事の中から、特に印象深かったものを3点選ぶという企画に以下の文章を寄稿しました。

アンケート結果が新建築.netに掲載されています。是非ご覧ください。

作品

掲載誌:新建築10月号
作品名:NOWHERE BUT SAJIMA
コメント:プライバシーや法的な条件が潜在化された、ファサードが作る「作品」の層が誌面では前景化している。しかし、別会社であるNowhere Resortを通して不動産事業にコミットし、リゾートの意味を問い郊外をリノベートしようとする、作品に定着し切れない「活動」の層との総体にこの建築の面白さがある。吉村氏の幾つかの作品には、この2層化が見られる。建築作品を読むことに要求されるリテラシーの所在は、変わってしまったのではないだろうか?

掲載誌:新建築5月号
作品名:奥沢の家
コメント:「残すべきものが無い」と感じる程の中から「選択」したものと新しく「付加」したものに、対比や序列を見出すのでは無く、全てを共時的に捉え、1つの作品として見出すリテラシーが新しい。合理性に繋がらない「選択」が設計であることに気づかされた。リフォーム・リノベーションが、新築を超えた豊かな空間を獲得し得る可能性と、そのジャンル自体が新しい「素材」であることを、これ程まで示せた作品は無いのではないだろうか?

掲載誌:新建築9月号
作品名:永井画廊
コメント:ファサード改修に満たない、ガラス一枚の入れ替えという余りに汎用な問題が、ガラスの入れ替えだけでインテリア、若しくは街の設計が可能か?という難問に書き換えられている。西沢氏の作品には毎回驚かされるが、2009年で一番衝撃を受けた作品だった。狭小住宅より更に小さなインテリアやリフォームの設計でデビューする若い建築家が増える中、ここまで汎用且つ、小さな問題では無かったのではないだろうか?

論文

掲載誌: 住宅特集10月号
論文・記事:メールディスカッション さまざまな地域性に応える住宅とは
コメント:北海道から九州で活動する建築家達のディスカッションは、建築を通して日本を縦断する包括感があり、議論の内容にも興味を持った。これまで、気候・風土といった永続する地域性についての議論は多く蓄積されて来たが、変化し続ける今そこに住む人の現在が抜け落ちて来たのでは無いか?末廣氏の「さまざまなコンテクストを並列に考え・・合理的に解釈し直す」という立場は、地域性を現代性の中に位置づけるきっかけになると感じた。

掲載誌:新建築11月号
論文・記事:日土小学校の保存再生がくれた夢
コメント:10年掛かった保存再生の道程は、とても読み応えがあった。多くのリノベーションの作品が雑誌に登場して来たが、やや方法や要素の問題として形骸化してきた感があると感じている。この論文には、新しいリノベーションの方法と可能性が示されていた。「設計手法が開放的で論理的なものであれば、その上に新しいルールを重ねた設計というゲームを続けることが出来る」ということ、即ち設計を上書き、重層する設計方法の可能性である。

掲載誌:住宅特集9月号
論文・記事:環境対応の発想を、新しい住宅像の契機に
コメント:作品掲載誌にあっては目新しい、ハウスメーカーの物件が新鮮だった。記事の企画自体が問題提起的である。新築だけでなく、リノベーションや住宅街区に及ぶ環境技術への研究・実績にはとても興味を持った。社会との明確な接点であるこの分野は、業界全体でコミットするべき場であり、建築家とハウスメーカーの境界を無効化する議論が必要である。高口氏の、太陽光利用などが新しい景観を生む規制になり得る、という発言に共感した。


writer:kagawa/ category:掲載


展覧会「ARCHITECTURE AFTER 1995」展
2009/10/22 21:10

えらく日が差し迫っていますが、以下の展覧会にSPACESPACEが参加します。 是非お立ちより下さい。

展覧会「ARCHITECTURE AFTER 1995」展
日時:2009年11月6日(金) – 17日(火) 12:00-20:00(6日は12:00-18:00)
会場:AD&A gallery(肥後橋)
主催:建築展実行委員会
特別協賛:大阪工業技術専門学校(天満橋)
後援:AD&A gallery
キュレーション:TEAM ROUNDABOUT
オープニング:2009年11月6日(金) 21:30- (AD&A gallery)

テーマ:「1995年以後」の都市状況から、新たな建築家の役割を考える

趣旨:阪神大震災、オウム真理教事件によって既存の都市インフラの脆弱性が露呈し、「windows95」が発売され、「インターネット元年」と呼ばれて新しい情報インフラの可能性が顕在化した「1995年」以後、現代の社会は一方で情報技術への依存を強め、他方で風景の固有性を失いつつあります。他方、設計技術の情報化は設計プロセスのあり方を変え、新たな建築表現の可能性を示唆しています。そこで本展覧会では、同年以後に活動を展開する次世代の建築家に注目し、現代社会における建築家の役割と可能性を考える機会とします。

出展建築家
乾久美子 梅林克 垣内光司 木村松本 SPACESPACE dot architects 中山英之 中村竜治 藤村龍至 藤本壮介 松岡聡田村裕希 満田衛資 宮本佳明 森田一弥 吉村靖孝

関連企画:ワークショップ
期間:2009年11月7日(土)-8日(日) 9:00-17:30
概要:学生チームにより「1995年以後の住宅」の模型300個を制作します。制作された模型は「ARCHITECTURE AFTER 1995」展1階会場に展示され、模型制作を通じて展覧会のキュレーションのプロセスに参加して頂きます。

参加申込方法:大阪工業技術専門学校までお問い合わせ下さい

キックオフ・ミーティング「『1995年以後』を考える」
日時:2009年11月6日(金)19:00-21:00
会場:大阪工業技術専門学校
パネリスト:鈴木謙介 藤村龍至
概要:「1995年」とは、どんな転機であったのか。社会学者と建築家の対談を通じて、展覧会の趣旨を伝えると同時に、ワークショップのイントロダクションとします。

シンポジウムA「『2000年以後』を考える」
日時:2009年11月8日(日)19:00-21:00
会場:大阪工業技術専門学校
プレゼンテータ:垣内光司 木村松本 SPACESPACE dot architects
パネリスト:五十嵐太郎
モデレータ:TEAM ROUNDABOUT
概要:「1995年以後」のコンテクストは、現代の建築家の実践にどのような影響を与え、どのように次の時代へと引き継ぐことができるか。ここでは、2000年に東京・ギャラリー間で行われた「空間から状況へ」展を監修した五十嵐太郎氏を迎え、「2000年以後」のコンテクストについて討議を行います。

シンポジウムB「『2010年以後』を考える」
日時:2009年11月14日(土)17:00-20:00
会場:大阪工業技術専門学校
パネリスト:梅林克 中山英之 宮本佳明
モデレータ:TEAM ROUNDABOUT
概要:展覧会を通じて生まれた議論の総括として、「空間から状況へ」展に出展していた建築家、および本展出展作家を迎え、「2010年以後」の展望について、世代を超えた討議を行います。

本件に関するお問い合わせ先

(一般・ワークショップ参加希望)
ARCHITECTURE AFTER 1995 事務局
大阪工業技術専門学校
06-6352-0091
担当:岸上勝彦

(プレス)
藤村龍至建築設計事務所
03-3476-6508
office*ryujifujimura.jp
担当:畑克敏


writer:kagawa/ category:展覧会


第12回アーキフォーラム
2009/10/18 22:50

コーディネーターを務めてもうすぐ1年、早いものです。第12回アーキフォーラムでは、2009年にNOWHERE BUT HAYAMA, NOWHERE BUT SAJIMAを発表した吉村靖孝さんに講演して頂きます。

第12回
・タイトル:一連のNowhere resortの建築、一連のコンテナ建築/吉村靖孝:木・林・森
・講師:吉村靖孝/建築家
・日時:2009年10月24日(土)17:00-19:00(16:30開場)

・会場:TOTOテクニカルセンター大阪 http://www.com-et.com/
 大阪市中央区久太郎町3-6-8 御堂筋ダイワビル2F
 (地下鉄本町駅9番・12番出口より徒歩4分) *駐車場は、利用できません。
・定員:80名(当日先着順)
・参加費:一般1000円 学生500円
・問合せ:柳々堂書店 tel.06-6443-0167

お見逃し無く。最終回(第13回)の概要は10月24日に発表の予定です。


writer:kagawa/ category:archiforum


第11回アーキフォーラム
2009/09/25 22:00

第11回の概要、決定いたしました。

第11回
・タイトル「ハンカイ」ハウス・澄心寺庫裏コンペ案/宮本佳明
・講師:宮本佳明(建築家・大阪市立大学大学院教授)
・日時:2009年9月26日(土)17:00-19:00(16:30開場)

・会場:TOTOテクニカルセンター大阪 http://www.com-et.com/
大阪市中央区久太郎町3-6-8 御堂筋ダイワビル2F
(地下鉄本町駅9番・12番出口より徒歩4分) *駐車場は、利用できません。
・定員:80名(当日先着順)
・参加費:一般1000円 学生500円
・問合せ:柳々堂書店 tel.06-6443-0167


writer:kagawa/ category:archiforum


第10回アーキフォーラム
2009/07/27 22:34

アーキフォーラムもいよいよ佳境に入ってきました。現時点で決まってる講師は次回で最後、以降の講師、講演概要は次回の講演会後に発表される予定です。ホームページにも掲載されます。

archiforum in osaka 2008-2009

2008-2009シリーズテーマ 「建築の跳躍力」
-2000年以降の社会と建築を語る建築作品-

2000年以降に作られた建築作品から、現在と未来の社会を読む試みを行う全13回のレクチャーシリーズ

コーディネーター:家成俊勝・香川貴範・米津正臣

第10回
・ハウス&アトリエワン、ノラ・ハウス/塚本由晴:建築のビヘイビオロロジー
・講師:塚本由晴/建築家・東京工業大学大学院准教授
・日時:2009年8月22日(土)17:00-19:00(16:30開場)


writer:kagawa/ category:archiforum


第7・8・9回アーキフォーラム
2009/04/28 20:19

第7・8・9回アーキフォーラム、タイトルが決定しましたので、まとめて掲載します。また、レビューも第6回の長坂常さんの回まで、掲載されています。今回、谷尻誠さんの執筆者は今津康夫さんです。ご期待ください。

また、5月の中頃には2000年から2009年までの年表をアーキフォーラムのホームページ上で公開します。11・12回講演で呼んでほしい人、呼ぶべき 人に心当たりがあれば、kagawa@spacspac.comまでメールください。自薦・他薦は問いません。出来れば、理由も書いてもらえると助かりま す。

第7回
egota house A・QUICO神宮前/坂本一成:日常の詩学
講師:坂本一成/建築家
日時:2009年5月23日(土)17:00-19:00(16:30開場)

第8回
輪の家・モザイクの家/武井誠+鍋島千恵:接点の風景
講師:武井誠/建築家
日時:2009年6月27日(土)17:00-19:00(16:30開場)

第9回
高過庵・一夜亭/藤森照信:茶室を中心に藤森流建築について
講師:藤森照信/建築家
日時:2009年7月25日(土)17:00-19:00(16:30開場)


writer:kagawa/ category:archiforum


第6回アーキフォーラムのお知らせ
2009/04/02 16:42

第6回アーキフォーラムのお知らせです。

第6回
東京事務所・DESIGN TIDE 2008/谷尻誠:境界線を越えて
講師:谷尻誠/建築家
日時:2009年4月25日(土)17:00-19:00(16:30開場)

どういう議論にするかは、まだ考え中です。


writer:kagawa/ category:archiforum


ROUNDABOUT JOURNAL 公開ディスカッション
2009/03/02 21:38

下記のイベントが行われます。興味ある人は是非どうぞ。

タイトル:ROUNDABOUT JOURNAL 公開ディスカッション
テーマ:続・手の内側

日時:3月7日(土) 15:30開場16:00開始
会場:INAX the TILE space

去る1月31日に東京・INAX:GINZAで開催されたイベント「LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2009」にて浮かび上がった論点を報告し、新たにSPACESPACEのおふたりを迎え、「手の内側」=設計の方法論をめぐる問題を掘り下げつつ、議論の次なる展開を模索する

ゲスト:SPACESPACE, dot architects, 柳原照弘、山崎亮
モデレート:藤村龍至, TEAM ROUNDABOUT

主催:TEAM ROUNDABOUT
協力:株式会社INAX

申し込み:不要
定員:80名(当日先着順)

お問い合わせ:INAX the TILE space 王尾亜紀子(おうびあきこ)
TEL:06-6539-3721

当日の連絡先:王尾携帯
INAX the TILE space ショールームは休館日につき、外線は繋がりません。
TEL:090-5463-0406

参考URL
-roundabout journal (ブログ) http://www.round-about.org/
-LIVE ROUNDABOUT JOURNAL 2009 レポート
http://d.hatena.ne.jp/buildingk/20090131
http://www.ne.jp/asahi/studio/lithium/diarylog.htm#090131

会場アクセス

大阪市西区新町1-7-1 INAX大阪ビル2F
http://dds.inax.co.jp/tile_space/

地下鉄四つ橋線「四ツ橋」駅
長堀鶴見緑地線「心斎橋」駅
1-A出口から徒歩2分
「四つ橋」の交差点から北へ1つ目の信号 南西角


writer:kagawa/ category:講演


アーキフォーラム4回・5回のお知らせ
2009/02/06 16:31

アーキフォーラム4回・5回のお知らせ。以下2回は会場が変更になるので、ご注意ください。第4回は「大阪会館 E会場」、第5回は「御堂筋ダイワビル3階TOTO㈱会議室」通常の会場の上の階です。

第4回
森山邸・HOUSE A・十和田市現代美術館/西沢立衛:近作について
講師:西沢立衛/建築家
日時:2009年2月28日(土)17:00-19:00(16:30開場)
会場:大阪会館 E会場 http://www.o-kaikan.com

第5回
panda・SAYAMA FLAT/長坂常:普段
講師:長坂常/建築家
日時:2009年3月28日(土)17:00-19:00(16:30開場)
会場:御堂筋ダイワビル3階TOTO㈱会議室

また、近日中(2月28日近辺)に過去3回の講演会レビューを、アーキフォーラムのホームページ上に掲載します。終了した講演会を放置するので無く、同世代で関西で活躍する建築関係者にレビューを書いて貰うことで、広く議論を共有することを目的に始めました。
それぞれの回の執筆者は、第1回「桝屋本店・sarugaku/平田晃久:空間の灰色性について」がコーディネーターの米津正臣氏。第2回「高知・本山町の家/小玉祐一朗:環境との交感」が日本設計で難波研出身の山口陽登氏、第3回「JIN’S GLOBAL STANDARD・ヘチマ/中村竜治:形」は最近は海外でも活躍し始めたデザイナーの柳原照弘氏です。講演回共々、ご期待ください。


writer:kagawa/ category:archiforum


明けましておめでとうございます
2009/01/05 19:07

明けましておめでとうございます、今年もよろしくお願いします。一応、今日から仕事始めでした。
2008年の後半は、思い返すといろいろな仕事が重なって、なかなかコンペをやる時間も無い状態でした。今年はまた、新しいことに手を出して行けたらと思います。
昨年10月から始まったアーキフォーラムは、2回の講演を終えたのみで、まだ1年分11回残っています。ここからは、最終回まで毎月開催されるので気が抜けません。
次回、中村竜治さんの回では家具作品の「ヘチマ」を会場に持って来て貰い、講演会と展覧会を同時に進行させるような場になる予定です。今後も、ちょっとづつ新しい試みを取り入れようと画策中です。


writer:kagawa/ category:近況